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日本で短期留学経験ありの日本語が専門のエジプト人です。最近は韓国と韓国語に興味があり、独学を始めました。 An Egyptian majoring in Japanese language, lately I'm interested in Korea and the Korean language so I started self-learning.

2011年10月2日日曜日

小説を読み終えた勢いで書いたもの

(201191付けの下書き)

東野圭吾「殺人の門
感想

さっきようやく東野圭吾氏の「殺人の門」という小説を読みきった。東野圭吾の小説を読むのはこれで初めてではなく、前に今年ドラマ化された「秘密」という小説を単行本で読んだ。
以下は小説の粗筋
登場人物その① 田島和幸が幼少時代に起こったある出来事がきっかけで、今まで幸福で穏やかだった彼と彼の家族の人生を逆転させてしまう。
登場人物その② 田島が小学校(中学校だったかな?)に出会った一人の男が、後になるこの小説の悪党コンビの一人であり、田島の殺意を作中何度も蘇らせる存在となる倉持修という男。
二人の関係は、作中でいつもひとつのパターンに沿って、展開していく。
田島が地道な仕事をしながら平凡な人生を送ってるその場に、必ず悪魔のように倉持がやってきては、上手い口を使って田島をだまし、悪徳商法やらネズミ講やらをやらせながら、やがて田島の人生を滅茶苦茶にする羽目に。
毎回、後になって田島が倉持に対して抱くとてつもない憎悪と怒りが生み出す「いつかお前
を殺してやる!」と徐々に増してくる殺意で終わってしまう。
でも、いつも自分にそう言い聞かせながらも、やがては倉持が現れるたびに、彼の巧みな話術にまんまと騙されることになる。自分が騙されたと気づいたときも殺すどころか、やはり丸め込まれて彼を信じてしまうことに…


それ以上言ったら、ネタばれになるから、ここで感想に移りたいと思う。

まず、誰もがこの作品を読んで最初に決まってやるように、私も読み終わった後にメインキャラクターの二人の男の性格を比較した。
田島…子供の頃に、自分の祖母の死がきっかけで抱き始めた「殺人」への興味。『人が人を殺すとはどういうことなんだろう』と最初で始まる単なる子どもの好奇心と思われるものが 徐々に変化していく。毒薬を使った殺人への関心が増し、やがて彼は幼い子でありながらも、なぜか「いつかやってみたい」とさえ考えるようになってしまう(なぜか、と付け加えたのはあれが自分には未だ納得できないこの小説のひとつの点だからだ)。
話が展開していくと共に、「殺したいって思う相手さえいれば…」と、とにかく殺人を犯したがってるその子供を見て、ちょっとやりすぎなんじゃない?って思うほど私にはありえなかった。

倉持修…子供のころからインチキに興味を抱き、人から金を騙してでも大儲けをしたがるその人…
最初は(二人がまだ子供の部分)田島と対照すると、やっぱりどうみても田島の方が悪党に見えちゃう(のは私だけ?いやそうとは思わないな)
でもその後、二人の奇妙な関係を描いた語り手が田島である小説を読み、まるで呪いをかけられているかのようなあの田島の生涯を、誰もが田島が憎んだように倉持を憎むことになるに違いない。

でも、読みきった後に、冷静になって考えて見たら、矛盾さを覚えてしまった。子供の頃から「殺人」というものに憧れ、毒を盗んだり、実際に食べ物に混ぜて人を殺そうとまでするこの少年は、やはり恐ろしい!!変わった趣味の子供…という言葉では片付けられないほど怖い。
その人が大人になって、子供のころから不審感を抱いてた倉持に人生を操られ、少しずつ崩れていく彼の人生、
読者としてやはり子供の田島への印象が少しずつ薄くなり、「田島、ちょっとバカで騙されやすすぎるけどやっぱ可愛そう!倉持なんて殺してしまえ!」とまで思うようになってしまう。それがおそらくまた作者の望みなのかもしれないな。でも、二人を“変人の度合い”で比べれば(笑)田島の方が絶対勝っているって。


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